OPQRSTUVカット
自然、に憧れがあります。
緑豊かな方ではなくて、おのずから、の自然。自然にそうなったとか、そうあるのが自然とか。
意志の無いところで醸成された、というか。
例えば、前にテレビで見た東南アジアにある小さな島の男達。別に意識して鍛えた訳じゃないけど農作業とか家を作る為に木を運んだりしてたらいつの間にか皆筋骨隆々になっていた、みたいな。
(異世界転生して気づいたらチート並みに最強に!?は好みません。)
自然、に憧れているので、自然でない「かっこいいから」という動機を避ける傾向があります。
https://6oo.hateblo.jp/entry/2020/06/02/195432
自然への憧れ、という意味で1番惹かれたのが祖父です。
うちの祖父は遠洋漁業でマグロを捕る漁師でした。中卒で叩き上げ。1度漁に出れば半年以上帰ってこず、陸に上がっても一ヶ月もすれば又漁に出る、そんな生活を50年続けました。
同僚が死ぬ事も珍しくない危険な仕事だだたそうで、祖父も釣り針(といっても巨大な奴)が目に直撃して片方をほとんど失明していました。
そんな仕事をして一家を支えた祖父の肌はシミだらけでした。腕も顔も足も。ただれたようにも見えました。日が出ている間ずっと何の遮りもない海の真ん中で紫外線を浴び続けたのだから当然です。日焼け止めなんて当時は美容意識のある人以外は使っていないでしょうし。
でもそんな祖父の肌に憧れました。
肌の事なんか気にならないくらい一生懸命だったんだな、とか、これが海で生きてきた証なんだな、とかっこよく思えたんです。
漁からの帰りにマグロを一匹丸々持ち帰ってきて庭で捌いてくれたのが嬉しかったとかはたぶん関係ありません。
こうありたい、と思いました。
たぶん周りが見た目を気にして泥遊びなんかをやめだしたのが嫌で見た目を気にしない姿勢に憧れた、というのもあるかもしれません。
ですが幼き少年は憧れの対象を心意気ではなく見たまんまで捉えてしまったのです。
祖父の紫外線に破壊され尽くした肌に憧れた少年は日焼け止めを嫌いました。
自然に日焼けするんだ、と。
祖父の、漁師をしていたら日に焼けた、と同じように、ひたすらサッカーしてたら真っ黒になった、を実行していました。
化粧水やら乳液、洗顔剤も当然使用しません。自然ではないですから。人工物ですから。
実行し続けて数年、思春期に入ってしばらくたった後、肌は紫外線に屈しました。一気に肌がボロボロになりニキビが大量発生しました。
顔中血だらけ、なんて日がザラにありました。
こんなに苦痛なんて知らなかった…
今はなんとか色々ケアして血だらけは避けられていますが、もっと早くから、と後悔は募ります。
つまるところ、
紫外線の有毒性が判明し、それを防ぐ有用な日焼け止めが市販されている現代においてそれらを積極的に使用することが自然であって、自分の身体組織を破壊し続ける事は自然ではない、ということです。
祖父への憧れは変わりませんが、自分が憧れの通りに必ずしもなる必要はないと深く思い知らされました。
今日も日焼け止め塗ります。
おーおー OPQRSTUV カット