勝手に改葬

来世で立派なメジャーリーガーストライカーになるために。

終わり無き戦い「ボール蹴り」

f:id:abarth6522:20210514212933j:plainきっと僕らのボール蹴りにゴールなんて、終わりなんて無かったんだ。


夏休みの小学校、特に誘い合うでもなく「なんとなく学校でも行くかぁ」で集まった面識もそこそこ、下は小学校低学年から上は高校生の子供達二十人弱。

熾烈な鬼決めじゃんけんと共にボール蹴りは始まる。ボール蹴りとは缶蹴り(主に缶)のデメリットである、すぐ潰れて使えなくなる、ぶつかると怪我する、小さくて踏み辛い、蹴ると音がうるさい、そもそも空き缶が無い、等を考慮し代わりとしてボール使用する。そう、球技。

高校生の兄ちゃんがグラウンドの彼方へとボールを飛ばす、そして子供達は校内のあちこちへと散る。

鬼が定位置に戻るまで約1分、やるべきことはシンプル。

鬼に見つかりにくく且、鬼の行動を把握しやすい拠点を見つけることだ。

多くの場合、隠れる場所といってもそう多くはないので何人かとチームのようになる。このメンバーとは青のうちのだれかが鬼にならない限り1日行動を共にする。

このボール蹴り、実は団体競技。いかに鬼の位置を把握しそれを味方と正確に共有しいつか来る反撃のチャンスに連携できるか。れっきとした戦なのだ。各々DSのカメラで壁から出ずに鬼を確認したり、裏を回って逃走経路を確保したり、他チームと交渉して共同作戦を練ったりする。

ボール蹴りは朝の9時から昼まで、そしていったん帰宅した後、昼から夕方の鐘がなるまで続く。

時間の限り何度も何度も。休憩はない。

終わるころにはチームメイトは戦友となり熱き絆が生まれている。

しかしこのメンバーが最高だ、と確信しても、同じメンバーが集まる事は二度とない。みんな気分で集まっているし、それが気楽で好きだから。

そしてだからこそこのボール蹴りにゴールは無い。メンバーが入れ替わりながらいつまでも続いていくのだから。